8/26(金)27(土)学びの体験ツアー「ジカギキvol.1 in 伊那食品工業」

晴天に恵まれた中、ジカギキ第1回目が国内No.1の寒天メーカーである「伊那食品工業」で開催!
伊那食品工業は社員や地域を大事にし、少しずつ確実に成長する独自の「年輪経営」をしています。
会社のルールの真髄や塚越社長の率直な考えや思いを伺い、毎日行われている「朝の掃除」を実際に体験するなど、学びがたくさんつまった2日間でした。

※ダイジェスト映像

ジカギキとは?
学ぶ意欲の高い若旦那衆の皆さまと共に、渋沢栄一翁の精神を体現する企業への見学ツアーのこと。
学びの体験ツアーを直接、現場で現物を体験しながら、現実を学び、語り合う中で深める機会にしたく、まさに直に聞き合い、語り合うので「ジカギキ」と命名しました!

概要

日程:2022/8/26(金)、8/27(土)
場所:伊那食品工業株式会社

タイムスケジュール:
<8/26(金)>
13:00~見学ツアー(かんてんぱぱガーデン、2022年3月OPENモンテリーナ)
15:00~塚越社長の講話
17:00~語り場(参加者同士)

<8/27(土)>
8:00~朝の掃除体験
9:00~かんてんぱぱガーデンでのお土産購入、ランチ、自由行動
18:00~J3試合 松本vs讃岐( https://www.yamaga-fc.com/match/detail/2022-j3-match22
※松本山雅FCのスポンサーとして伊那食品工業が参画

「自らの会社でいかに実践していくか!」
実学への一歩を生み出す覚悟をした日

(1)13:00~見学ツアー(かんてんぱぱガーデン、2022年3月OPENモンテリーナ)
・専任1割
研究開発は50名弱で運営。
かんてんぱぱガーデン内の「健康パビリオン」に併設されている、認定栄養ケア・ステーションは、管理栄養士・栄養士が栄養ケアを提供する地域密着型の拠点として、公益社団法人日本栄養士会から認定されている施設(https://www.kantenpp-health.com/)で住民に開放している。

・社員同士は”さん付け”
役職に関係なく、「●●さん」で呼び合う!
例えば、「伊藤さん」が多い場合は下の名前で呼び合っている(ともみさんなど)。

・販売のルール:直売のみ(自社店舗&自社ECサイト)
かんてんぱぱ製品は自分達の思いが届けられるように、自社店舗もしくは自社ECサイトのみで販売。500商品以上の少量多品種で展開している。

・工場の仕組み
BtoBの工場は会社の基盤であり収益の柱。だからこそ、効率化して低コストを実現。
BtoCの工場は真逆で、高コストで地元の人材を活かしている。
なぜなら雇用を産むことが地域貢献の一つと考えているから。

・新卒採用は毎年20~30人
毎年約2,000人の応募があるが、地元の人を優先して選考を進めている。

・朝掃除
-7:45~自主掃除
-8:20~給与対象として全員掃除 ※ココが仕組みの一つ
-8:30~ラジオ体操&朝礼でスタート

・井戸水を無償提供
地下900メートルから汲み上げて、住民の人にも無償で提供。

・モンテリーナのコンセプト「人が集うランドマーク」
県外の人に集まっていただくためのハブとなりたい。
ただし、ここでとどまることなく近隣の観光地にもでかけてもらえることが狙い。

・伊那食品工業社員 池崎さん
伊那食品のオーナーシップを持っており、自らが伊那食品を引っ張る一人として、熱く語っている姿が素晴らしい!

(2)15:00~DVD鑑賞・講話(伊那食品工業 塚越社長)
・DVD鑑賞
年商180億。
経営とは大勢の人(社員→社会)が幸せになること!人件費とは目的そのものであり、利益が目的ではイケナイ!

・年輪経営
経営は必ずしも売上数字ではなく、社会貢献含めて成長すること。
年々少しずつ成長することが大事。
社員の笑顔が原動力であり、社員が一枚岩になっていることが大切。当たり前のことを当たり前に行うことの尊さを誰もが知っている!

・年輪経営とは「日本の老舗企業がやってきたことの具現化」
これが本来のあるべき姿。老舗のように永続できる企業をつくる秘訣。
少しずつ良くなっていかなければならない、年輪のように少しずつ。
だからこそ、事業計画もつくらない(笑)

・年輪経営の秘訣は行き当たりばったり(笑)
大事なことは計画を達成することではなく、みんなが幸せになること!
年輪のように毎年積み重ねていくことだからこそ、行き当たりばったり!!(笑)
臨機応変に対応していくことが大事で「今日より明日が良くなることは、一人ひとりが幸せになること」

・掃除
「仕事を始める前に掃除するのは、自然とたわむれ有難い」
恩返しのために土日も実施され、社員の家族も来ることがある。

・前向き駐車
社内の駐車場では、車がすべて前向きに駐車されている。
「気持ちを一つに。ミスなく今日もスタートしようという心になれる。襟セットする機会。」と社員さんが語る。

・ターニングポイントは「約30年前、会社を嫌で辞めた社員がいた」
寒天ブーム到来。社員からの声で働き方を変更したが、取引先から「あなたの社員の顔色が良くないね」と言われ、実際に辞めていく社員がいた。
改めて働き方を見直し、目先の利益に翻弄されることはなくなった。
他力で伸びたものは必ずしぼむ、平常心でいこうと動いている。

・モンテリーナの設立背景
「観光地なのに、なぜ全国のアンテナショップがあるのか?」と言われることが多々ある(笑)
「経営とはより多くの人に幸せになってもらうこと」という軸に、マーケティング(ペルソナ等)戦略は一切やらないことにしている。(マーケティングはいくら稼ぐか、という思想になってしまうと考えているから)

・モンテリーナのコンセプト
「多くの人に喜んでもらいたい!楽しんでもらいたい!!」
本来のあるべき姿、会社のあるべき姿、それが年輪経営であり、みんなが幸せになること。
利益とはあくまで結果であり、手段である。

・「毎年の人件費アップ」を公言したキッカケ
キッカケは2008年のリーマンショック。世間はコストカットかつボーナスもカット。
当社も見直しを図ったところ、会長(現 最高顧問)が「人件費を削って経営するならサルでもできる。人件費を使って経営をしろ!」と一喝!
人件費は経費だけど目的であり、毎年あげていく本質的な意味(年輪経理の極意、困難なときもブレない軸、そのための内部留保等)をこの時まである程度しかわかっていなかった、ということを悟った。

・「言葉だけ、思いだけではいけない、実際に行動で示さなければならない!」
年輪経営ならびに毎年人件費アップのためには”内部留保”が最も大事であり、利益が必要不可欠。
「何のために内部留保なのか」が大事で、内部留保=社員が生活を保てるための準備である。
最高顧問がやってきてくれた土台のお陰で今があることに改めて感謝!

・売上目標、利益目標は全くない
利益は大事だけど、数字目標は一切つくらない!

・現場レベルでは数字をつくっている
経営側が数字目標をたてて実施するのではなく、目標は現場からつくるもの!
人に決められた目標より、圧倒的に自分で決めた目標を実行するときの方がパワーを発揮できます!

・会社全体で資料はほとんどつくらない
実務で必要な時は活用しますが、必要じゃない会議では一切なし!!
その裏側には役員陣や部長陣含め、会社の数字や現状、方向性を隅々まで把握するよう努力している。

・自由に考えられるけれども、社長が旗印であり方向性
伊那食品の社是は「いい会社をつくりましょう~たくましく そして やさしく ~」。
幸せになっていくための軸であるが、これを社員一人ひとりに伝えていくことの難しさがある(笑)https://www.kantenpp.co.jp/corpinfo/corporate/philosophy

社員に伝えるためには仕組み(仕掛け)づくりが必要不可欠
①掃除:「掃除は気づきの訓練!」
いくら本を読んでも「気づき力」が鍛えられるものではない。
掃除はどこで誰が何をやるかも決めていないから、参加して、他の人の作業を見て行動する。
だからこそ、結果として掃除は自己成長のためにやっていることになる。

②みんなでやること:朝掃除、ラジオ体操、社員旅行(14〜15班で自由に行き先を決める)、月例会、草刈り会、稲刈り会等々。
みんなでやることのメリットは「縦横のつながりを生むこと」。
仕事はみんなが同じことをやるわけではない、上司から部下で伝達される縦のつながり。
掃除やお祭りの時は同じ立場で、横一線で実施できるからこそ、横のつながりが生まれる。

③チームビルディング:どういうチーム(組織)にしていくか
「ファミリーであり家族のような人間関係をつくること」が大事。
本当のファミリーを目指していて、大事なポイントは「年功序列」。
人が人を判断する上で大事なことは、判断できないことを知ること。
自分達がどういう組織にしていくかを決めていくことが重要!!

・いくら仕組みをつくっても、信頼されなければ無意味「言行一致の大切さ」
信頼している先輩からの指摘は聞けるけど、尊敬できない人、信頼できない人からの指摘は聞けないのが人間。人は誰が言うかで変わってくる!
言っていることとやっていることが一緒じゃなければならない。
言行一致で信頼されていなければNG!!

・コロナの影響
業務用の寒天需要が落ちて、手土産のお菓子の業績も落ちた。こ
れは社是のせいではなく、コロナのせいであり、誰も想像できなかったこと。

・採用のこだわり
基準は何もない(笑)
お陰様で現在は採用に困っておらず、離職率もほぼない。
結婚する相手を選ぶようなもので、感覚で一緒に働いていて良さそうな人!

・社長のルーティン
実は社長は雑談が多い(笑)
社長室がないからこそ、みんなと喋っている。
特に社長デスク前のテーブルでは女性陣が昼に弁当を食べているほど。
話しやすいミーティングの場を意図的にたくさん作っている。

・全体の底上げ:R&D(研究)に力を入れている秘訣
何となく去年より良くなったね、という雰囲気や空気が大事。
それが結果として数字に出ている。自分のこととして考えて行動しているからだと思っている。

・新入社員への教育
研修プログラムは一切ない。
実際の家庭では子どもたちへの教育プログラムはつくらない、そのことと全く一緒!(笑)
「会社だからではなく、自分自身の家庭(自然体)」として考えることが大事。もっと自然体でOK!!

・文化づくりで意識していること:忘己利他(もうこりた)の人材を採用すること
優秀な人は頭が良い人でも数字をつくれる人でもない!思いやりがある人が素晴らしい人。
最高顧問の思い=「忘己利他(もうこりた)」とは自分のことを忘れ、他人のために生きることができる人材のことを指す。

・マネジメントの定義
顧問:教えて、導く。→そういう人でなければできない。技量や能力がある。
社長:みんなで考え、行動できるチームづくり。
でも、本当は深くは考えていない(笑)
なぜなら、自分が楽しくやることが大事だから!

・従業員の皆さんへのメッセージの出し方で工夫されていること
月1回の月例会や工場で話すこと等など、とにかく話をする機会を多くつくっている。
会って話をしていくことを大切にしたいと考えている!

・人員配置で配慮していること
最も配慮しているのが人員配置。人間関係で移動させたり、組織をつくったりする。
人の幸せを考えれば、人に合わせて組織をつくることが重要!

・決裁ルートがない
案件によっては飛び越えてくることが多々ある!!
それがあまりに多いから、飛ばしきれないのが実情(笑)
上司も若いメンバーに社長へ直接説明に行かせているのが現状。

・失敗を追求することもない
失敗は失敗したで闇に葬る!しょうがない(笑)

社員さんが「かんてんぱぱガーデン」の木を伐採して作り上げたベンチ
社員の声から生まれた、めだかの住む池

伊那食品工業㈱ プロフィール

伊那食品工業㈱ 
創業 1958年(昭和33年)
代表取締役社長 塚越 英弘

国内No.1の寒天メーカーであり、「会社の存在意義は人々の幸せの追求にある」との理念に基づいた「年輪経営」を実践し、48期連続増収増益という超長期的成長を実現。寒天の加工といった食品はもとより化粧品、医療品等の用途を広げ、「かんてんパパ」というブランドを立ち上げる。その他の取組として、朝の清掃活動や出勤時の右折禁止など「凡事継続」を大切にし、社員とともに永続的な成長を目指す。

社是「いい会社をつくりましょう」
https://www.kantenpp.co.jp/corpinfo/corporate/philosophy

トヨタの豊田章男社長も学ぶ、報徳思想をもとにした”年輪経営”で創業以来48年連続増収増益を達成!
長野県で「入社したい会社」 1位!
小学生の通学路安全確保のためには、自社の敷地をも提供!歩道橋もかけてしまう!
社員の1割は研究開発に充てる、未来への戦略的投資術!
コロナ禍での新たな挑戦「monterina~心地よい風が吹き抜ける楽しみがつまった場所~」!

「かんてんぱぱガーデン」伊那食品工業株式会社の本社・工場周辺に広がる緑豊かな庭園https://www.kantenpp.co.jp/garden/

働く社員や地域の人、訪れる人が安心して憩える空間を……という想いのもと「かんてんぱぱガーデン」は1989年に生まれました。新緑や紅葉、山野草を訪れる人々に楽しんでいただこうと、毎朝社員が手入れを行っています。かんてんぱぱショップをはじめ、寒天料理や地元名物が味わえるレストラン、入場無料のミュージアムや健康チェックができる施設などがございます。広々としたガーデンで、ゆっくりとした時間をお過ごしください。

参加メンバー

㈱浮月
創業 1891年(明治24年)
代表取締役社⾧ 久保田 耕平

株式会社が運営する「浮月楼」は、徳川慶喜公屋敷跡地、静岡の迎賓館・料亭として建てられる。庭師の「小川治兵衛」が作庭した池泉回遊式庭園は、四季折々様々な表情を見せ、四季の移ろいを感じることができる。式場としても利用でき、浮月楼の味を気軽に楽しめるレストラン浮殿では、日本庭園を眺めながら、静岡産の食材を使った料理を楽しむことができる。

㈱埼玉種畜牧場
創業 1946年(昭和21年)
代表取締役社⾧ 笹﨑 浩一

サイボクは創業以来70年の歳月をかけて、種豚→肉豚→精肉直売店→ハム・ソーセージ工場→地元有機野菜の直売店→レストラン→通信販売→天然温泉→森のアスレチック等々を展開。「人に良いで”食”」の実践を願いとして、精魂こめて育てたサイボク独自の豚肉は、欧州の国際食品コンテストで24年間に渡り1045個の金メダルを獲得。今後も新鮮・美味・健康への挑戦は続いていく。

㈱サカタ
創業 1975年(昭和50年)
代表取締役 坂田 光司

個人宅の庭・外構づくりからリフォーム、塀工事・ガレージ工事・植栽工事、大きい工事でいくと地盤改良から土木建築まで、なんでもこなす建設集団。『自然にやさしい環境づくりをめざす』ため、業務を通じて『自然=エコ』を実感し、環境保全に少しでも貢献できるように、無駄をなくして『一人ひとりの多能化』を目指している。

セイフル㈱
創業 1951年(昭和26年)
代表取締役社⾧ 岡田 高和

1951年に燃料店としてスタートして以来、地域の様々なニーズに応える形で事業領域を拡大して現在に至る。「人を大切にして、地域を支える会社」という言葉を胸に、IoTやAIを活用しながら、時代に即した新たな施工技術の導入や次世代を担う若手の技術力底上げに注力する。今後もお客様の課題を見つけ、それを解決するために技術力の向上や働き方を見直し、結果的に地域のインフラを支える会社を目指す。

㈱アシスト
創業 2002年(平成14年)
深谷支店⾧ 吉田 亨

2002年に「信頼され愛される会社」を目指し発足。東京海上日動のTOPQUALITY代理店に認定されており、お客様のリスク回避のため、各スタッフが自己研鑽を心がけ、人を大切にし、お客様はもちろん係る全ての人に感謝をすることでより良く愛される会社づくりを目指す。

渋沢栄一翁の名言

信用はのれんや見た目から
得られるものではなく、
確固たる信念から生まれる

  • 人は全て自主独立すべきものである。
    自立の精神は人への思いやりと
    共に人生の根本を成すものである。
  • 全て形式に流れると精神が乏しくなる。
    何でも日々新たにという心がけが大事である。
  • 一人ひとりに天の使命があり、
    その天命を楽しんで生きることが、
    処世上の第一要件である。
  • 事業には信用が第一である。
    世間の信用を得るには、世間を信用することだ。
    個人も同じである。自分が相手を疑いながら、
    自分を信用せよとは虫のいい話だ。
  • たとえその事業が微々たるものであろうと、
    自分の利益は少額であろうと、
    国家必要の事業を合理的に経営すれば、
    心は常に楽しんで仕事にあたることができる。
  • 金儲けを品の悪いことのように考えるのは、
    根本的に間違っている。
    しかし儲けることに熱中しすぎると、
    品が悪くなるのもたしかである。
    金儲けにも品位を忘れぬようにしたい。
  • 死ぬときに残す教訓が大事なのではなく、
    生きている時の行動が大事なのだ。
  • 信用はのれんや見た目から
    得られるものではなく、
    確固たる信念から生まれる。
  • 真似をするときには、その形ではなく、
    その心を真似するのがよい。
  • 数字算出の確固たる見通しと、
    裏づけのない事業は必ず失敗する。
  • 反対者には反対者の論理がある。
    それを聞かないうちに、いきなりけしからん奴だと
    怒ってもはじまらない。
    問題の本質的な解決には結びつかない。
  • 世の人が元気をなくしており、
    社会の発展が停滞している。
    いままでの仕事を守って間違いなくするよりも、
    さらに大きな計画をして発展させ、
    世界と競争するのがよいのだ。
  • もうこれで満足だという時は、
    すなわち衰える時である。
  • 商売をする上で重要なのは、
    競争しながらでも道徳を守るということだ。
  • 一家一人の為に発する怒りは小なる怒りにて、
    一国の為に発する怒りは大いなる怒りである。
    大いなる怒りは、国家社会の進歩発展を促す。
  • 自分が信じないことは言わず、
    知ったからには必ず行うという思いが強くなれば、
    自然に言葉は少なく、行動は素早くなる。